日本代表監督がメキシコのハビエル・アギーレに決まりました。メディアはこぞって「アギーレジャパン」と報道しています。これには「いつか来た道」をまた通っている感覚を覚えます。
先ずは「○○ジャパン」の違和感についてですが、いつからか日本代表を監督名につけて呼ぶようになりました。元々はバレーボールが発祥と記憶していますが、ベースボールもそんな呼称で代表を表記します。ナガシマジャパン、ハラジャパンなど記憶に新しいですね。サッカーはベースボールに習ったわけではないですが、オフト監督の頃から始まり、20年間で10回、監督が替わるたびにそんな名称で呼ばれています。その10回の代表名称は、「オフトジャパン」「ファルカンジャパン」(これは短かったので記憶薄)「カモジャパン」(日本がカモだから弱いね)「オカダジャパン」「トルシエジャパン」「ジーコジャパン」「オシムジャパン」「オカダジャパン」「ザックジャパン」そして「アギーレジャパン」。新聞、TVなどで一喜一憂するたびに○○ジャパンが踊りました。監督が替わるたびにその監督名を冠した代表を呼称することでその監督が全てを解決し、次のワールドカップに向けた正しい道を行くように伝えられます、願いをこめて。この願いはどんな願いかと言うとサッカーのことを考えたものではなく、視聴率や販売数そしてスポンサーさんついてくださいという願いが本当のところです。
今回のワールドカップは2006年のドイツ大会とよく似ていました。史上最強とかヨーロッパの強豪クラブにいる選手がいるとかの形容詞がついた代表でした。どちらもメディアは煽りました。躍らせました。結果は、しょんぼり。よく似ています。優勝目指してがんばります。目標は優勝です。そんな発言を今回よく耳にしました。その発言を心から信用した人は本当にいたのか疑問です。サッカー協会の人はどう思っていたのか知りたいですね。TV用、新聞用、スポンサー向けにはそう言わねばならなかったと思います。でも希望、願いはそうあっても心の中では、決勝Tには行って欲しいと思っていたくらいでしょう。ザックの采配も本大会においては微妙でした。ザックは代表を率いたことはありません。ジーコはクラブ監督経験もなかったですが。結果が似ている2つの大会とその後の監督登場もよく似ています。ドイツ後は協会の偉い人が口を滑らせ発表に至りました。そこで登場したのがオシムでした。ユーゴ代表監督としてイタリア大会でベスト8の実績やオシム語録やジェフでの実績で期待され代表を変えてくれる強くしてくれるという報道が踊りました。今回はどうでしょう。アギーレはメキシコ代表を2回決勝Tに導きました。本人も選手時代ベスト8を経験しています。今回は口を滑らせたわけではないですがいつの間にかアギーレ一本かぶりになっていました。そしてアギーレのチーム作りや戦術等の予測報道がされ、解決してくれるだろうという報道になっています。でも全ては商売ベースのような気がします。代表監督は選手を育てるようなチーム作りをなかなか出来ません。戦術を決め、持ち駒をどう選び、使うかの選択者です。代表は、結果を出さなければなりません。その国のスタイルがあってその国のスタイルで勝てるのが一番でしょう。オシムは「日本人らしさ」「日本らしいスタイル」を確立するといっていました。途中で倒れたのは残念でしたが。日本らしさはその国の育成年代やユース年代からあるべきものです。代表監督が簡単に作れるものではありません。オランダは、全ての年代で4-3-3のフォーメーションを採用して育成します。だからいつでも4-3-3に戻せます。ウイングやポゼッションは基本戦術として理解しています。日本はどうでしょう。日本らしいスタイルは何か?ちゃんと説明できる人はいないのではないかと思います。オシムの言葉だけが頼りだった気がします。アギーレもJリーグを見て日本のサッカー実態をみて一番のスタイルと判断したものを採用するでしょう。それはオシムのものとは違う気がします。監督の色が出るから。それでも○○ジャパンと言って代表を呼称することは監督の色が強すぎます。サッカーの強国はそんな呼称をしません。デルポスケスペイン、レーブドイツ、フェリポンセレソンとは聞いたことがありません。監督は重要です。代表の柱の一つです。でも名称は違うものと思います。代表には代表をあらわす呼称があるからです。そこで代表の呼称を次に上げてみます。
ベースボールの代表は「侍ジャパン」というのもあるようですがサッカーの強国は、自国代表に呼び名を持っています。監督+国名ではありません。ブラジルは、「セレソン」代表とか選抜という意味のようですが、大国らしい呼称です。イングランドは「スリーライオンズ」エンブレムから来ていますが、一般にはあまり馴染みないかな。オランダは「オランイェ」国のイメージカラーのオレンジから来ています。色で言うと有名なのが、イタリアの「アズーリ」、アルゼンチンの「アルビセレステ」(白と空色)スペインの「ラ・ロハ」(かつては、ラ・フリア・ロハ:激情の赤)、フランスの「レ・ブルー」ですね。
以下代表の呼称を一気に上げてみます。ウルグアイ代表:セレステ、エクアドル代表:コンドルス、オーストラリア代表:サッカールー、カメルーン代表:不屈のライオン、コスタリカ代表:ティコス、サウジアラビア代表:砂漠の太陽、ジャマイカ代表:レゲェボーイズ、スウェーデン代表:ブローギューラ、スロベニア代表:ズマイチキ、セネガル代表:ライオンズ、チュニジア代表:カルタゴの鷲、デンマーク代表:ダニッシュ・ダイナマイト、ドイツ代表:マンシャフト(馴染みなし)トルコ代表:アイ・ユルドゥズル、ムーン・アンド・スターズ、ナイジェリア代表:スーパーイーグルス、パラグアイ代表:グアラーニ、ハンガリー代表:マジック・マジャール、ベルギー代表:ベネルクスの赤い悪魔、ポーランド代表:オルィ、赤い閃光、ポルトガル代表:アコーディオン(馴染みなし)、メキシコ代表:トリ(馴染みなし)こんなところです。
サッカーの国、フットボールの国と言ったほうが正しい表現です。自国のサッカー代表チームを愛情込めて呼びます。叱咤もします。羨ましい限りです。日本もそんな国の仲間入りをして欲しいものです。商売ベースが裏にある呼称では困ります。責任は監督だけが取るための呼称でも困ります。その国のサッカーを連想させる呼称であって欲しいですね。日本代表が世界の強国と肩を並べそして凌駕するときにはそんな呼称が欲しいですね。
女子日本代表は「なでしこジャパン」という名の通った呼称があります。少しべたな感はありますが、なんとなく伝わります。世界ランク3位、現ワールドカップチャンピオンは日本ですから良い様にも思いますが、これも商売ベースが見え隠れしています。それでも日本の女子サッカーは美しいパスサッカーと言われています。基礎は出来つつあります。さて男子、本家日本代表はどうか?まだスタイルを表現する言葉は固まってないですね。これからです。そして呼称も「サムライブルー」と言うのがあるようです。商標登録しているとか?商売魂がたくましいですね。青の由来も少しあいまいだからかもしれません。全ての競技の代表ユニフォームが青だと説得力があってサッカー代表が「サムライブルー」とか「Jブルー」「サムライボーイ」とか言うといいですね。
代表監督がアギーレに決まり、次の代表チームが正しい道を進んでくれることを願っています。アギーレが全能の解決者であるとは思いません。選手の力がなかったら正しい道を示してもだめだし、間違った道を示されたときにその道を行ってしまうでしょう。個の力を最大限に引き出し活用する監督がアギーレだったということを期待しています。そうしたらワールドカップごとに監督が替わらなくてもいいですから。