ワールドカップが終わりアムステルダムに帰ってきた。マラカナンは大きなスタジアムだが、カンプノウほどの迫力はない。アムステルダムアレナにも劣る造りだ。フットボールのスタジアムはやはりイングランドが一番だ。ピッチとスタンドの一体感がすばらしい。イングランドのフットボールが格闘技になるのはスタジアムのせいだろう。タテのパスを早く入れたくなるつくりかもしれない。
さて今回のワールドカップは36年ぶりに南米で開催された大会だったが、優勝はドイツになった。初めてヨーロッパのチームが南米での大会を制覇した。前回は、アフリカ大陸をヨーロッパのスペインが制覇したことで地域のジンクスも薄くなったためかもしれない。南米のチームは、決勝トーナメントでアルゼンチンを除いてブラジルを囲むように組合わされ、つぶしあってくれたこともヨーロッパのチームにとっては良かったかもしれない。但し、南米らしい個人技を持っていたチームは非常に少なかった。ブラジル代表の中ではネイマールだけが南米らしさを持っていたが、それも生きた化石のような存在で他の選手とのフィット感はなかったように思える。ハメスロドリゲスはアイデア、テクニックともにすばらしい選手だが、しなやかさに欠け、ヨーロッパの巧い選手と変わらない。南米らしさの欠けた南米のチームだったからヨーロッパのチームが優勝出来たと思う。やはりヨーロッパのチームは南米らしい技術とアイデアは苦手だ。
今回のワールドカップは、技術的にはあまり進歩なく、パワーと走力が優劣を決めた大会になった。なぜならワンタッチプレーがほとんど見られず、ポゼッションが目的となったパス戦術と典型的なリアクションフットボールの戦い方しか見られなかった。スペインが組織疲労を起したことでポゼッションフットボールが後退したようになったことが最大の原因かもしれない。スペインもユーロを戦うほうが距離や時差の問題で本当の姿を出しやすいのかもしれない。スペインもユーロとワールドカップでは美しさの次元が違う。だからドイツはスペインには分が悪い。イタリアには苦手意識もあり、ドイツがやりたいポゼッションフットボールをイタリアにやられてしまう。そんなドイツが優勝した大会であった。
ペップが改造中のバイエルン選手が中心となったドイツ代表だ。この次はもっと美しいフットボールをドイツがするかもしれない。ワンタッチフットボール、ダイレクトプレーの連続するフットボールだ。相手ペナルティエリアでパスが繋がる攻撃だ。体でブロックするディフェンダーが空を切るグループアイデアだ。そんな美しいフットボールが見たいものだ。
ワールドカップのお祭りは終わった。これから各クラブは新シーズンに向けた準備に入る。移籍市場が閉まる8月末まで目が話せないが、美しいサッカーをするための補強であることを祈る。
但し、その前に夏のバカンスを忘れてはだめだ。今年は長くなるぞ。