MSNという劇薬は、バルサからバルサらしさを消し去り、マドリの専売特許だった力任せフットボールをバルサにもたらしてしまった。MSNが悪いわけではないが、フットボールの持つ機能性や流動性は、バルサから失われつつある。(失われたかもしれない)
シャビが去ったこと、イニエスタの出番が減ったこと、ブスケスがベストフォームにないこと、バルサの失った機能美は、MSNの突出した力だけが原因ではない。
プロフットボールの世界は、勝たなければ失うものの方が多くなってしまう。勝っても楽しくなければ失うものも大きい。MSNは個の力と技によって勝利を掴むという図式をバルサにもたらした。フットボールの美しさ=個の技を楽しませること、そんな方程式が成り立つのが今のバルサかもしれない。
楽しくなければフットボールではない。やるのが楽しいから見るほうも楽しい。MSNが楽しんでいるから、MSNを見るほうも楽しめるというのは本当だろうか。
空から見ているクライフは何と言うだろうか?
MSN以外の選手に技術が足りないからそう見える。MSNを凌ぐ技術を身につけさせなければ、美しいフットボールにはならない。