ブラジル 0-3 オランダ
3位決定戦という最高の消化試合が終わりました。ドイツとのセミファイナルでブラジルが神様の罰を受けたと思っていました。そして今日もその罰が続いていると最初は思いました。でも違いました。ブラジルは弱かった。巧くなかった。ドイツには、負けるべくして負け、オランダにも負けるべくして負けました。
セレソンとは思えない技術、アイデア。かつてのイングランドのような中盤の省略と力だけのボール運び。イングランドのほうがCFにポイントがあったのでこの表現は失礼かもしれない。巧い選手ではなくフィジカルで押し捲る体の大きな選手を育て続けた当然の結果です。遠くにだけは蹴れる。当りだけは強い。でも巧くない、精度は低い、ファールをとられやすい。攻撃の戦術はネイマール。守備は世界最高と言われた(誰が言ったか覚えてないが)センターバックコンビ。去年のコンフェデまではそうだったかもしれない。ネイマールがいなくなると攻撃は、ロングボールを蹴るか、強引なドリブルだけになった。前回ワールドカップでオランダに負けた時に気づかなかった。今回はネイマールがいたから問題ないはずだった。でもネイマールがいなくなった。問題しか残らなかったが、修正することが出来なかった。そういう指導もチーム編成もそして育成もしてこなかったから。
ブラジル代表の歴史を見ると、2010年はカカにかけたがだめだった。2006年はクアトロマジコにかけたが、また苦手なフランスにやられた。2002年は3Rが巧くいった。アジアの大会でヨーロッパのチームには暑すぎたから。98年はロナウドにかけたが、苦手なフランス(イタリアのような守備的な)にやられた。94年は今回に近いチームでロマーリオで巧くいった。そして何よりもアメリカは暑かった。90年はネイマールのいない今回と似たチームだった。マラドーナを一瞬だけフリーにしたらやられた。86年は黄金のカルテットがもう黄金ではなかった。ここでもプラティニの美しいフランスにやられた。82年は黄金のカルテットで史上最高の楽しさがあった。芸術性があった。でもイタリアにやられてしまった。まさかの負けだった。78年はブラジルが勝つはずだった。どこにも負けなかった。でもアルゼンチンを勝たせるための大会だった。そして74年は、オランダにやられた。クライフに木っ端微塵にされた。フットボール革命にやられた。40年間11回のワールドカップで2回優勝したブラジルは、82年大会で黄金のカルテットが勝てなかったから勝てるチーム勝てる選手を作ろうとして楽しさ、面白さを捨ててしまった。大国の誇りを捨て意地だけが残ってしまった。個人の体の大きさと強さだけになってしまった。楽しさはクライフイズムを受け継いだスペインに到底及ばなくなった。そして今回はスペインのコピーのようなドイツにやられた。クライフイズムを捨てたオランダにまたやられてしまった。コンフェデは力と勢いで勝てるが、ワールドカップは勝てない。コンフェデを3連覇してもワールドカップは全て決勝にいけなかった。セレソンがセレソンだった時代は遠い昔になった。70年のセレソンは史上最高かもしれないが、フットボールが違う時代の話だ。
次のワールドカップもブラジルには厳しい大会になるであろう。今度こそネイマールがいるから大丈夫と思ったらまただめだろう。楽しくない、サプライズプレーのあるブラジル代表に戻って欲しい。結果だけがサプライズに見え、実は必然の結果は見たくない。フットボールの神様は、ブラジル代表にイングランドやイタリアを期待していない。スペインも期待していない。それ以上のフットボールを期待しています。それがセレソンだから。
オランダはトータルフットボールを捨てたが3位となった。どうでも良い3位だが腐っても鯛国?に勝っての3位、無敗で3位だから価値はある。クライフ先生のコメントが楽しみではあるが。
これで前座試合は全て終了。ファイナルというメーンイベントが始まります。