ラウンド16の組合せは次の通りとなった。
九里が浜FC VS 東葛城FC
八葉FC VS 柏の木FC
高葉台FC VS 中房FC
辰巳野FC VS 小手崎FC
習知野FC VS 市山FC
伯東FC VS 松木戸FC
八幡台FC VS 成畑FC
楽園台FC VS 千代石FC
概ね常連チームがU-15選手権の成績順に並んだ組合せになった。前年チャンピオンの源FCがいないのは惜しい感がある。それでも源FCを幼児扱いした?九里が浜FCの異次元フットボールを見られるという期待感は、源FCの穴を埋めて余りあるものだった。
九里が浜FCに敗れた習知野FC、八幡台FC、楽園台FCといった強豪チームはファイナルまで九里が浜FCと対戦しない。ファイナル進出まで九里が浜FCとの挑戦権をかけた戦いとなることだろう。
九里が浜FCは、組合せに関心を示さなかった。未来の子供達は、相手がどこでも関係なかった。彼らはこの時代のフットボールがどんなものかを体で確かめることが目的で、ここに来ていた。未来にいるコーチ達から聞くだけだった40年前のフットボールが、どんなレベルにあったのかを知りたいだけだった。だからトップと言われるチームと対戦するためにここに、この時代に来ていた。いや、本当の理由は、何よりもフットボールが、フットボールをすることが好きだったからだ。どんな時代であろうとフットボールはフットボールだと思っている。スタイルの好き嫌いは別にして。
抽選が行われた日もその翌日もまたその翌日も九里が浜FCの練習は、いつも通りに行われていた。未来の子供達にはフットボールが日常だった。そして、U-15選手権決勝戦以降、ひと月以上行われていないトップチームとセカンドチームのトレーニングマッチが再開されることになった。
ところで、九里が浜FCのトップとセカンドというランク付けした呼称は、対外的におかしなものになってしまった。地域選手権で優勝した方がセカンドチームでラウンド16にも進めなかったチームがトップチームというのでは、対外的にいつも理屈をつけた説明が必要になる。練習ゲームを申し込もうとするにもセカンドチームというより優勝したチームということになる。
それでも、未来の子供達はそんなことも気にしてなかった。無頓着だっただけかもしれない。未来の子供達は、トップチームに対してリスペクトする気持ちはあった。このチームにおいては、トップメンバーはチームの生え抜き(未来の子供達は「生え抜け」と言ってよく怒られた)であり、叩き上げだった。レベルはともかく(こう言うからいつも怒られる)チーム内ではトップとセカンドという呼称は続けられた。
週末には市内大会で優勝した千代南FC(ちよなんFC)とトレーニングマッチも組まれた。昨年秋、未来の子供達がこの時代に来て間もない頃に行われた市の大会は、それまで10年続いた九里が浜FCの覇権を終わらせたのが千代南FCだった。市大会は、地元にある12チームがチャンピオンをかけて戦うトーナメントだが、九里が浜FC以外は、フットボール専門のクラブではなかった。だからこのタイトルを逃した九里が浜FCトップチームは、この時から歯車が狂いだした。
(全国選手権予選前のトップチームとのトレーニングマッチと千代南FCとのトレーニングマッチの模様は次週に)