ポゼッションフットボールとアンチポゼッションフットボールが戦ったバイエルンVSアトレティコ。ファイナンシャルフットボールの戦いとなったマドリーVSシティー。
バルサとのゲームを経験して来たアトレティコにとってペップバイエルンは偽物にしか見えなかったかもしれない。70%以上ボールを支配されてもアトレティコは疲弊しなかった。ボールを支配させてもゲームは支配させなかった。ペップが生命線とするサイド攻撃も両サイドバックが押さえ込んだ。ロッペン不在とリベリー怪我明けという言い訳もあっただろう。アトレティコの居合抜きを思わせるカウンターアタックは、一撃必殺でバイエルンに致命傷を与える。アンチポゼッション=アンチフットボールという式が成り立たないシメオネのチームは、相手チームがボールを保持している時間が相手にとってのピンチである様に見えてしまう。「肉を切らせて骨を断つ」というやり方があるが、シメオネのチームは「皮を切らせて骨を断つ」様なやり方だ。有効打=決定機を作らせず一瞬のカウンターで相手をダウンさせてしまう。美しいフットボールではない。強者のフットボールでもない。だが弱者のアンチフットボールではない。このシメオネのチームに勝ち切れるチームは好調時のバルサだけだろう。(今のバルサでは勝てない)
ファイナンシャルフットボールチームの戦いとなったマドリーVSシティー。緩いチーム同士が戦ったゲームだった。CL準決勝としては典型的な凡戦。シティーに決勝進出の意欲が見えなかった。それに合わせる様なマドリーの低いプレー精度は、見るに耐えないゲームだった。これもシーズン終盤にはよくあることだ。これもフットボールと言えばそれまでか。
ベイルとロナウドの馬力は相変わらずだ。イマジネーションや緻密さ、知的さは感じないがそんなこと必要ないと思わせる。メッシとの比較で、ポルシェとフェラーリを例えに出したロナウドの発言があったが、この例えは相応しくない。ベイルも含めていうとメッシは馬力のポルシェやフェラーリかもしれないが、ベイルやロナウドは2000馬力のトレーラーだ。天賦のフィジカルと天賦のテクニカルを比べるのは元来無理なことか。
サンシーロ(ジョゼッペ・メアッツァ)でのファイナルは、2年ぶりにマドリーダービーとなった。セミファイナルの内容を比べたら、アトレティコの圧勝だろう。だが、そうならないのがファイナルだ。レギュラーシーズン終了後にユーロとコパを控えた今シーズンはどんな綾がつくか観てみよう。