アムステルダムから12時間かかる東の国は、遠い地の果てに着いた感覚に襲われる。空港から車で1時間、高速道路もない狭い道から見える風景は、のどかな田園だ。そんな場所でもフットボールをする光景が見られた。ハイスクールのOBが集うゲームだ。かつてこの地はフットボールの先進地域として、地方の大会を制覇し、全国選手権に出場したことがあるハイスクールがあるそうだ(30年以上前の話のようだ)。そんなハイスクール出身者が、年に1度ハイスクールに集ってフットボールをするそうだ。
この地域では、自称レジェンドから本当のレジェンド(これもこの地域だけで言われるレベル)までいるそうだが、レジェンド達は、皆50歳を過ぎていた。シニアフットボーラーとその子供たち(ハイスクールOB)そして現役ハイスクールフットボーラーがフットボールをしていた。
驚いたのはピッチが土だったこと。フットボールは芝の上でやるべきだ。土の上ではボールが走らない、勇気あるプレーで怪我をする危険が高まる。シニアにとっては尚更だ。ピッチサイズも特殊だ。縦横共に短いピッチだ。横が狭いとワイドなスペース感覚が育たない。タテが狭いから早くゴールに迫るためにロングボールを選択することが多くなってしまう。
現役ハイスクールフットボーラーのゲームを見ると、フィールドプレーヤーは、コンパクトな?並びだが、GKのキック練習をしているような内容だった。あれではフィールドプレーヤーは要らない。パスやドリブルなどボールを扱う技術は伸びないし、空間を見る眼も育たない。そして何より楽しくないだろう。先進地域と言われたときのフットボールとはずいぶん違うらしいが、30年以上前のことなので確かめようがない。聞いた話では、当時は4‐3‐3のフォーメーションでトータルフットボールを目指していたらしい。トータルフットボールというところがクラシカルで微笑ましいが、話半分と見て十分だろう。
レジェンド達のゲームは、20分を3本と10分を1本やっていた。今年は集まりが悪く20代・30代のハイスクールOBは数名、50代以上が中心のまさにレジェンド達中心のゲームとなっていた。地域の強豪と言われた2つのハイスクールOB戦を今年から行ったようだ。60歳前後から10代の現役選手のミックスチームは、現役生が多いほうのチームが勝ったようだ。スコアは4‐2。レジェンドと言われた50代以上の選手のスピードは歩く速さのパス、歩く速さのドリブル。瞬間的には上手いと思わせるプレーもあったが、ほぼ草フットボールだ。こんなフットボールしか出来ないのによく続いているものだ。でもそれがフットボールの凄いところかもしれない。こんな東の国の東の果てで続いている「ゆったりとした微笑ましいフットボール」に敬意を表したい。また来年も見たいものだ。来年はビジネスクラスにしよう。