数的優位を作ることは、サッカーのゲーム戦術の中で重要なものと言われている。特にポゼッションサッカーという完成された戦術スタイルが世界のトレンドとなった2008年以降、数的優位を作りボールをつないでいくパスサッカーは、誰彼かまわず追い求めるようになった。ポゼッションすること、数的優位を作ることがサッカーの理想型であると皆が理解した。(前回のW杯では、それが自分たちのスタイルだと曲解し、W杯で全く通じず、恥ずかしい思いをした国もあった。)
サッカーの戦術は、ヨーロッパで生まれヨーロッパで磨かれたものだ。特にトータルフットボールという究極のスタイルは、南米サッカー特にブラジルサッカーに対抗するために作られたものだ。ブラジルサッカーには戦術という整理された戦い方は無かった。今でも個人頼みの攻撃とラグビー選手のようなブロッカーのDFでゲームをする。スタイルの傾向はずっと変わらない。「個の力」が戦術を超えるところにブラジルサッカーの凄さと巧さと楽しさがあった。(最近はネイマール一本かぶりだから危うい)ブラジルに戦術は不要だった。最近はアルゼンチンのほうがかつてのブラジルのようになっている。メッシがいるからそう見えるのかもしれない。アルゼンチンサッカーは、昔も今も「1対1」が基本だ。戦術といえるのは、守ったら相手からボールを「もぎ取る」「掻っ攫う」攻めたら「抜き去る」それだけだ。数的優位を作ってボールを保持するのではなくたった一人でボールを取られない「ソロポゼッション」が基本となる。
個の力が機能すると数的優位は無力化される。個の力とは?
(続く)