モウリーニョのチームを見ているとサッカーの現実性と効率性を追求して行ったらこんな見え方をするのではないかと思わせる。(お金はかかってる)現実的で効率的だから無駄がない。無駄がないから遊びもない。遊びがないからドキドキ感も楽しさも少ない。でも強い。ここ一番に強い。今シーズンの結果はともかく(モウリーニョ3年目のジンクスと言うことか?)いつも強いチームであることは間違いない。よくタイトルを獲る。そしてそのスタイルは成熟した大人の雰囲気がある。
ベンゲルのチームを見ると逆の見え方をする。ベンゲルも北ロンドンのサポーターもかつてハイベリーに出現したインビンシブルズの再来を夢見ているのかもしれない。ペップ時代のバルサよりパスサッカーの理想を演じていたインビンシブルズ。高速パスサッカーはバスケットボールのような早いパス交換で相手デフェンスを崩していった。こんなサッカーを作り上げたベンゲルが理想を追い続けるのは当然かもしれない。できるものなら誰でも作りたいはず。史上最高峰の美しさを持っていたプレミア無敗優勝チームを。
そんなベンゲルの理想がチームとサポーターの夢となり、夢と現実が交錯した脆いパフォーマンスに片寄ったチームが出来上がってしまった。夢見る少年のサッカーになってしまった。自分達のペースの時はいいサッカーをする。一度歯車が狂うとどうにもならない。見ていられない無惨な状況になってしまう。ベンゲルのチームがモウリーニョのチームと戦うと違いがハッキリする。例えは不適切だが、御釈迦様と孫悟空のようだ。勝利はモウリーニョのチームのものになる。
プロのチームが勝利すること、タイトルを獲ることは当たり前。だが、いつも大人のサッカーが勝つとサッカーがつまらないものになる。モウリーニョが悪い訳ではない。ベンゲルが悪い訳でもない。大人になれない、少年が夢見るようなサッカーが、完成された大人のサッカーを打ち砕く方が面白い。何処か儚く、未完成のようだが、将来性とか未来性があるほうが正義の味方に見えてしまう。なんだか、正義が悪を退治する勧善懲悪がいいような話しになってしまったのでこの話は終わりにしたほうがいい。
大人のチームが好きですか?大人になれないチームが好きですか?勝つチームが好きですか?美しいチームが好きですか?美しく勝って、見事に負けるチームが好きですか?それともサッカーが好きですか?
答えは人それぞれ。人生いろいろ。サッカーもいろいろ!