サッカーは苦しい。サッカーは楽しい。サッカーは難しい。サッカーは面白い。だから、サッカーが好きだ。サッカーは自分に勝たなければならない。そしてサッカーは相手にも勝たなければならない。そのためには、サッカーが上手くなければならない。サッカーが上手くなるには、ドリブルが上手くなければならない。パスが上手くなければならない。トラップが上手くなければならない。そうボールコントロールが上手くならなければならない。ボールコントロールが上手いことはサッカーが上手いことの全てではない。ゲーム中90分間、ボールコントロールがうまくなければならない。それにはスタミナが必要だ。90分間同じレベルでいなければならない。ボールコントロールが上手く、90分間続けるスタミナがあるだけではまだ足りない。サッカーは予測する頭脳が必要だ。予測する頭脳とは、ボールが動きを見越していること、味方の動きを見越していること、相手の動きを見越していること、ピッチ上の動きをお見通しにしていることだ。そしてその予測に対応したプレーが出来なければならない。ボールコントロールとスタミナと予測力、この3つが揃って本当のサッカーが上手い選手となる。
細かいプレーでいうと、予測していればダイビングやスライディングのブロックは必要なくなる。正面でコントロールすればいいからだ。フェイントも必要なくなるかもしれない。相手のブロックポイントが分かっているからその裏をつくドリブルやパスをすればいい。だから単にドリブルが上手いことだけでサッカーが上手いとは言わないし、パスが上手いだけでもサッカーが上手いとは言わない。これは一人上手になるかもしれない。ロンリープレーヤーになってしまう。また90分間走り続けるだけではおかしなことになる。どこをいつ走るのかが大事だ。走り続けるスタミナを競うなら長距離走やトライアスロンなど別のスポーツをやった方が良い。スタミナは、90分間動き続けられるフィジカルと90分間頭を働かせることを含んでいる。そしてそれは速度も大事だ。速度とは、プレーの速度と頭の働く速度だ。よく判断のスピードというが、判断することは速くても行動が遅いこともある。それは予測対応力が足りていないからだ。判断するには見通していることが絶対に必要になる。
そんなサッカーに必要なことを身につけるにはどうしたらいいか。それにはサッカーを続けなければならない。サッカーを続けるには、サッカーを楽しまなければならない。楽しまなかったら続けられない。世界のトッププレーヤーになるには、1万時間のプレーが必要と言われている。1日3時間プレーして10年かかる。そして1万5千時間でピークを迎えるそうだ。それにはサッカーが好きで楽しまなければ絶対に出来ない。だからサッカーは苦しいことに繋がるかもしれない。しかし、苦しみの先には絶対に楽しさが来るはずだ。そういう苦しさの先にある楽しさを経験させてあげるのが本当の育成だ。そんな育成が出来たら世界中にクラックが溢れることになるはずだ。ダイヤモンドの原石は目の前に溢れている。その原石が自主的に真のダイヤモンドになる育成をしよう。
おまけ:伝説のストライカー
東の国日いづる町に早く生まれすぎたストライカーがいた。その名はTSY18。40年も前にエラシコやダブルタッチを駆使してDFを抜き去りゴールを決めていた。アンリのプレーはTSY18のコピーといえる。当時の日本代表すらもマタ抜きをされていた伝説のプレーもあった。キックアンドラッシュ(百姓一揆と呼ばれていた)が基本戦術の時代に中盤ではシンプルなダイレクトプレーで相手をあしらい、アタッキングサードでは夢のようなボールコントロールでDFを抜き去りゴールを量産していた。現代サッカーであれば最高のストライカーとして歴史に残っていたかもしれない。でも当時のサッカーは違った。ボールコントロールよりボディーコントロール。ワンタッチプレーよりロングキックが優先された。TSY18は早く生まれすぎていた。今ならきっとネイマールにも負けないはずだ。