コパ・アメリカが終了。開催国優勝というチリの描いたシナリオどおりの結果になった。ヨーロッパのフットボールに慣れてしまった眼には特殊に見える南米大陸のフットボールは、別の競技を見ているようだった。チリは初めての南米タイトル。ビエルサイズムを極め続けたすばらしいランニングフットボールが、個の王様アルビセレステを超えた。
メッシはまた代表のタイトルを手に出来なかった。アルゼンチンのメッシ世代にとって代表のタイトルは遠いものになったようだ。メッシにとっては代表のタイトルは縁の無いまま終わるのかもしれない。ディ・ステファノやヨハン・クライフのように代表のタイトルとは無縁な存在となるかもしれない。時代最高選手であるメッシは、代表で輝かない選手として歴史に刻まれるのかもしれない。
今回のコパ・アメリカは、ジンクスがしっかりと生きていた。時代最高の選手がいるチームは優勝しない。ペレもマラドーナもコパは獲っていない。だからメッシも獲れない。アルゼンチンは、予選リーグ初戦を勝たないと優勝しない。アルゼンチンは、チリの地で負けたことが無い。全てが揃っている。ジンクスを破るのは今回のコパではなかったのか?
フットボールの神様は、個の力を競い合うフットボールを見るために南米に特別な力を与えているのかもしれない。アルビセレステは、強かった。Q・ファイナルではコロンビアにフットボールをさせなかった。局面局面で勝ち続けた。S・ファイナルでは、セレソンに競り勝った強いパラグアイを一蹴した。そのアルビセレステもチリの前では鋭い出足と開催国の意地というチリの力の前に持てる技術が狂ってしまった。フットボールの深さと難解さを再認識したゲームがコパ・アメリカのファイナルだった。南米の選手たちは皆、巧いという表現を超えた能力を持っている。こんな個の技術と意識があれば何処でフットボールしようとも通用するだろう。個の力は戦術を超えて存在する。戦術は個に左右される。個の力が競い合うコパ・アメリカは面白い大会だった。
チリの初優勝、そしてビエルサイズムの勝利に「乾杯!」