新しい歴史の幕が開いた。泥臭さの漂うバルセロナが生まれた。そして時代はメッシからネイマールに移ろうとしている。
1stレグ0-4とパルク・デ・プランスで地獄に突き落とされたバルセロナは、カンプ・ノウで地獄から這い上がった。歴史上初めての快挙という記録とともに。
5点差をつけなければ10年ぶりにラウンド16で敗退の危機にあったバルセロナが、6点取って、アグリゲート6-5というスコアでラウンド16を抜けた。
1stレグでは、パリの中盤に力負けしていたバルセロナ。セカンドレグでも技術的優位性に裏打ちされた機能美は見られなかった。だが、技術的優位性を失ったバルセロナが手にしたものがあった。
「愚直に闘う気」
それは、スペインのスタイルより、イングランドのスタイルに近いものだ。芸術性や洗練性とは反対側にある、ひたむきさや愚直さと言えるものだ。クライフイズムの根幹「美しく勝つ」とは別次元にあるもののように思う。が、スペクタクルフットボールと言う面では、クライフイズムそのものかもしれない。
機能美に溢れた技術的・戦術的絶対優位性は、いつの間にか技術的相対優位性に変わっていたバルセロナ。直近は、その相対優位性をも失っていた。アルティメットからエクセレントになり、今ではグッドのレベルまで下がってしまった。
それでも手にした闘気は、カンプ・ノウに奇跡とも言える歓喜をもたらした。カンプ・ノウに神が降りていたのかもしれない。そして今日は、メッシではなく、ネイマールを観に来ていたようだ。
史上初めての快挙は、ルイス・エンリケの辞任発表というカンフル剤の効果があった。だが、それだけではない。MSNの並びを崩して作った3-4-3が機能し始めたことも原因と言える。そして何よりも、バルセロナの選手達が逆転を信じて「闘気」をまとっていたことだ。
フットボールは、ジンクスという有限的な過去事例がある。その1つが今日破られた。フットボールは、奥が深い。今まで見て来たのはほんのうわべのことだった。