アトレティコ・マドリ VS バルサ
2-0
アトレティコがアトレティコらしく強力なディフェンスとシンプルな縦の攻めでバルサを圧倒した。バルサに一刻の強さがなくなっている。メッシ、ネイマールは全盛期の50%以下の出来かもしれない。アトレティコが良かったのは事実だが、バルサの出来が悪かったことも事実、バルサが出来なかったのかアトレティコがさせなかったのかどちらも真実のようだ。
チャンピオンズリーグを勝ち、クラブワールドカップを獲り、中心選手がバロンドールというおまけがついてしまうと全てのチームは年が明けた1月の坂を下っていく。だが、今シーズンのバルサは、1月の坂を下らなかった。FIFA制裁が明けた1月にアルダとビダルが出場可能になり怪我明けのメッシが調子を上げていった。MSNという補足不可能な巡航ミサイルはゴールをこじ開け続けた。だから40試合も負けない展開となった。リーガのタイトルは12ポイントの差がついたところで終戦したかに思えた。連覇はチャンピオンズカップまで遡るヨーロッパの最高タイトルチャンピオンズリーグを初めて連覇するのはことしのバルサしかないとも思えた。2年連続の三冠というおまけ付きで。
だが、そうならなかった。4月の坂があった。FIFAウィーク明け(バルサはFIFAウィルスに感染すると入院が必要になる)のクラシコから続く重要な5連戦で負け越す。クラシコでアトレティコのようなスタイルのレアルに敗れ、苦手なアノエタでどこのバルサというようなゲームを見せ、カンプノウでは勝ちを拾ったもののカルデロンでは何も出来ない無様な姿を晒してCL敗退。三冠どころか無冠の危機すら現実味を帯びて来た。3月に12ポイントの差がついたリーガのタイトルレースは、3ポイント差になった。坂はゆっくり下るより転げ落ちる方が簡単だ。5連戦の締めとなる次戦はリーガ、カンプノウでのバレンシア戦だ。ネビルのマイナス指導が終わり、調子が上向くバレンシアは、手負いのバルサを容赦しないだろう。
マイナス思考のバルサ考で言われた無様なバルサを見るのが今だった。現代バルサの創始者、いや現代フットボールの創造主ヘンドリク・ヨハネス・クライフが天に昇って3週間の内に起きたことはクライフにとって受け入れ難いことだろう。アンチクライフイズムというべきアトレティコのスタイルはボールを相手に保持させて追い詰めていくもの。ポゼッション28%で主導権は自分達のものにするという逆説的戦法だ。ポゼッションフットボールとアンポゼッションフットボールの戦い、クライフイズムは負けてはならない。負けるわけがない。この3週間のバルサにはアイデアがなかった。技術が足りなかった。そして戦う意思が不足していた。クライフが、そんなバルサにお仕置きし、試練を与えただけだ。クライフはこの試練を乗り越えることを期待している。真のクライフイズムは無敵であることを示すことを願っている。
楽しくなければフットボールではない。アイデアがなければ楽しくない。技術がなければアイデアは出せない。そんなクライフの声が聞こえてくる3週間だった。