ワールドカップ明けだった14-15シーズンがバルセロナの三冠で幕が降りてから2カ月が過ぎ、いよいよ15-16シーズンが始まる。ヨーロッパの主要リーグは、来年5月までリーグ戦と国内カップ戦を戦い、ヨーロッパタイトルのチャンピオンズリーグとユーロリーグを戦う。15-16シーズンは、どのチームが頂点に立つのか。どんなフットボールが展開されるのか興味は尽きない。
そんな数あるチームの中でバルセロナについて考えてみた。
ペップの完成させたティキタカスタイルが勝利の方程式(元々そんな方程式は存在しないが)ではなくなり、超絶3TOPの破壊力とDF陣の個人能力に裏打ちされた守備力によって頂点に戻ったバルセロナが今年は、どんな戦いを見せるだろか。
主戦力は、昨シーズンと同じだが、ペドロがチェルシーに移籍、出場時間は減っていたが中盤のコンダクターシャビが抜けた。アトレティコから獲ったアルダは移籍禁止期間が解ける来年1月まで使えない。年齢的な限界が見え始めたイニエスタが中盤のコントロールを何処まで出来るか不安が残る。アルダを使える来年以降まで選手のやり繰りと超絶3TOPの破壊力だけで持つのか疑問付が付く。昨シーズン無冠に終わったマドリの巻き返しは熾烈なものになるだろう。国内リーグもコパ・デルレイもチャンピオンズリーグもマドリの後塵を拝することになる危険をはらんでいる。
メッシ、ネイ、スアレスがシーズン当初から体をトップギアに入れられる状態になるとは思えない。守備陣も昨シーズンのパフォーマンスを維持するのは至難の技だ。攻撃も守備も個の力で三冠を獲るまで登り詰めてしまった選手が翌シーズンのモチベーションを維持することが出来るだろうか?普通は出来ない。イニエスタのパフォーマンスがアルダが使えるようになる来年1月まで持たなければ、3TOPが相手DFの中で埋もれた醜い姿のバルセロナを見ることになる。
メッシは今でも超人だが、メッシ1人に依存して勝てた時代は、過ぎ去った。理想主義で戦い、タイトルを総取りしたペップ時代は、既に過去のものになった。現実主義的なモウリーニョスタイルでタイトルを獲ったのも去年のことだ。
美しいフットボールが中盤の技術と構成力で理想のフットボールと言われていた時から僅か4年だが、バルセロナはリアクションフットボールを基本とした何処にでもある並みのチームになってしまった。超絶3TOPは健在でその超人技を見るだけのチームになった。もう美しいフットボールとして記憶されることはない。2015年に三冠を獲ったチームとして記録は残るかもしれないが。
輝かないメッシ、躍動しないネイ、空回りするスアレスを見ることを覚悟しておこう。15-16シーズンが無冠で終わった場合は、ルイス・エンリケの居場所は無くなるだろう。すると次の監督は誰がやるだろうか?すぐに思いつかない。いない!ペップは監督では戻らないだろう。シャビはまだ早いだろう。シャビまでの繋ぎを探すことになるか。全ては今シーズンの結果次第であろう。
美しく勝たなければバルセロナではない。勝たなければ意味はない。美しく負けて良いとも思わない。ただ、勝利至上主義はマドリに任せておけば良いと思うだけだ。美しいノータッチゴールを見てみたい。リーガのインビンシブルズを見てみたい。チャンピオンズリーグ連覇を見たいものだ。だが、今の変わり果てたバルセロナとって、それは夢のまた夢になってしまったようだ。
マイナス思考とは怖い。頂点に到達することは難しいが、頂点に居続けることはもっと難しい。頂点を極めると下りの道しか見えなくなる。登りは時間がかかるが落ち始めたら一瞬だ。バルセロナに期待することは並みのレベルではない。超絶なレベル、驚愕レベルのプレーだ。期待が大きくなればなるほど失望も大きくなるものだ。さて今シーズンは、どんなバルセロナが見られるか期待とマイナス思考を捨てて見てみよう。