個の力とは
サッカーにおける個の力とは、ボールを扱う技術、相手の読みを超えたアイデアと予測力とプレースピード(判断速度、実行速度)、強靭な体、そして精神の逞しさがあげられる。完全にスペースを消された1対3の場面で全員を抜き去ることにトライし、成功させることは、普通の精神では不可能なことだ。ドリブルの技術があってもプレー速度が桁違いでも自分が突破するという気持ちが無かったら実行に移されない。当然技術や速度の裏づけが無い精神力が実行するプレーは、無謀なもので「はったり」にもならない。
持てる力を出し切ることは、いつも精神の逞しさが裏づけになっている。数的優位を作るということも3対1ならば突破されない、ボールを奪えるという精神的優位を作るためのものだろう。個の力がそれを破ったら一瞬にして精神的優位は消滅しパニックになる。個の力を窮めることがサッカーの命題である。ワンタッチプレーの連続してゴールが生まれるサッカーは確かに美しい。そんなパスサッカーをする技術もすばらしい。特別な個が見せるサッカーはスリリングで楽しい。ソロがオーケストラを超える輝きだ。しかし個の競い合いがないサッカーは、味の無い食事、競争の無い100m走のようなものだ。特別な個をを生む精神の逞しさは、どこから生まれるだろう。自分の弱さに負けない気持ち、自分だけの技、どんな技でも出来る自信、そしてサッカーが好きなことは誰にも負けないという気持ちそんなことが必要だ。
そんな個、特別な個が生まれ続けるクラブがあったらすばらしい。普通の指導では生まれないかもしれない。それでもそんな個が生まれる指導が必要だ。メッシは作れないかもしれない。でもメッシのような個を生み出そうとしなかったら絶対に出来ないことだ。普通の選手、プレーヤーには不利に見える局面でも特別な個には不利に見えない。チャンスにすら見えているだろう。それだけ特別な個は、自分の技術とアイデアと未来予測に自信を持ち精神的優位に基づいたプレーが出来る。
(またまた続く)